数学は理系科目なのか

世間では、本日からGWです。

有給を使うと、今年のGWは10連休になるらしいです。

学習塾は暦に関係なく授業を行なっていることが多いため、世間一般の休みはあまり関係ありません。

塾のアルバイトを経験した後、「塾業界に就職もありかな?」と考える大学生がたまに現れますが、全然ありじゃないです、なしです。

休みや生活の時間帯が世間とずれてくるので、友達と疎遠になってしまう確率が高くなります。

言い換えると、友達がいない、なおかつ夜行性の人には天職かもしれません。

『GOOD WILL HUNTING』という映画では、素晴らしい友情のあり方が描かれています。

貧困街で育った天才が、自分の才能をうまく使えず葛藤するヒューマンドラマです。

友達がいない人は、GW中に是非ともご覧になってください!

円周率は3.05より大きいのか

4月の数学は「展開と因数分解」が学習範囲となっており、今週の授業では「解と係数の関係」「解の公式」の証明を扱いました。

「解と係数の関係」は大学受験で見かけることが多いですが、高校受験でも上位私立では頻出単元です。

「解の公式」に関しては、平方完成の方が有用なため、覚える必要のない公式ではありますが、数学1Aの二次関数では必要な知識となっています。

(具体的には、判別式で解の公式が出てきます)

どちらも展開を応用した考え方で証明が可能です。

証明問題は、高校受験ではあまり見かけることはなく、大学受験で出題されることが多くなっています。

例えば、「円周率が3.05より大きいことを証明せよ」という東大の問題が有名でしょうか。

上位国公立大学では、数学の根本を問うような証明問題が頻出となっています。

それが世に広まってから、方法論だけが先走り、数学の根本ではなく、証明の手順を丸暗記するような学生が多くなったように見受けられます。

人類の叡智が蓄積し、結果だけを与えられるようになった現代では実感できませんが、証明というのはその結果に真価があるわけではありません。

「AならばB」という発想で重要なのはBという結果ではなく、「AがBに変換できる」という過程です。

例えば三平方の定理で考えると、「底辺の2乗+高さの2乗=斜辺の2乗」という結果が重要なのではなく、「直角三角形において、全ての辺の比は一定に定まる」という過程部分が最重要です。

この発想から、高校数学で習う三角比へと発展し、更には三角比を関数に応用した三角関数、そして曲線を三角関数へと変換するフーリエ変換へと続きます。

つまり、数学の本質は「ある結果に辿り着くルートをいくつも考えること」にあります。

証明の手順を暗記することは数学の本質から離れているため、「解説の手順の丸暗記」ではなく、「解説に載っていない手順を考える」べきです。

「円周率が3.141…」と当たり前に受け入れていますが、改めて、どうして3.14という数字が出てくるのか、GW中に考えてみてください。

数学は理系科目なのか

「理系といえば数学」と当たり前の認識になっていますが、果たして数学は理系科目なのでしょうか。

そもそも、各教科を「理系・文系」と分けているのは世界でも日本くらいのもので、かなり異質な考え方です。

由来としては「理系学生に出資するお金が足りなくなったから、お金のかからない文系学生という概念を作ろう」という、旧日本政府の政策からきています。

理系と文系を比較した場合、理系学生の方が金銭的にメリットのある立場だということです。

「理系・文系」の分類については諸説ありますが、今回は「数学とその他理系科目」特に「数学と科学(化学・物理・生物・地学)」について考えていきます。

まず、科学ですが、その特徴の一つに「規則性・再現性を発見する」ことが挙げられます。

「再現性」というのは、言い換えれば「同じ状況で同じ手順を踏めば、誰が実行しても結果が一通りに定まる」ことです。

つまり、その結果に辿り着くルートが一通りに限定されることが重要になります。

Aさんがスイッチをオンにしたら電気が点くのに、Bさんがスイッチをオンにしても電気が点かないとなると、それは科学の敗北です。

極論、一つの手法で、あらゆる結果を導けるのが科学の理想形態です。

この思想を「Grand Theory」(大理論)と呼んでいます。

対して、数学はどうでしょうか。

先にも述べたように、数学の本質は「ある結果に辿り着くルートをいくつも考えること」です。

これは科学の本質とは異なります。

科学において、Bという結果を導く過程はAのみであることが良しとされます。

ACDEF…と無数に過程が存在すると、再現性が乏しくなるからです。

一方、数学において、Bという結果を導く過程はあればあるほど良しとされます。

この考え方は、どちらかと言えば文系科目、特に古典文学の読み解きに似ています。

古典文学を解読する際、時代背景や筆者の状況を鑑みて、省略された単語を補って解読します。

実際、古典文学について調べてみると「筆者は当時、こういう状況だったから、この文脈はこういった解釈もある」と注釈されているのをよく見かけます。

そう考えると、数学は科学寄りではなく、文学寄りの文系学問に近い感じがします。

数学が苦手だからと文系に進む学生が多いですが、むしろ文系の方が数学に適しているかもしれません。

話が長くなってしまいましたが、当たり前のように思えることでも、証明できない、知らないことが多いです。

「1+1=2」は誰でも分かりますが、「足し算で+記号が使われている理由」は意外と誰も知りません。

大人になると、思考が凝り固まってなかなか受け入れられないところはありますが、中学生は柔軟な対応力を持っているため、いろいろなことに興味を持って欲しいなというブログでした。

それでは、10連休を楽しんでください!