{りんご , メロン , みかん , ジェイソン・ステイサム}で仲間外れはどれか
ジェイソン・ステイサムの推し活をしていた、学習塾マリガンの高野です。
みなさん、ジェイソン・ステイサムはご存知でしょうか。
元水泳選手であり、ファッションモデルであり、特殊部隊員であり、地獄の果てまで悪を追いかける、イギリス出身の映画俳優です。
ジェイソン・ステイサムの好きなところを挙げるとキリがないですが、やはり一番は「ハゲてもかっこいい」ところです。
私は呪われた一族(ハゲ家系)の末裔なので、遠くない将来、必ずハゲます。
明日ハゲるかもしれない、10年後ハゲるかもしれない。
そんな恐怖に怯えていた中、ジェイソン・ステイサムの活躍は、船乗りにとっての北極星のような存在でした。
現代において、ジャイロコンパスやレーダーで正確な位置を知ることができますが、それでも北極星は最後の希望です。
私も、育毛剤やアンチエイジングで抗いつつ、最後はジェイソン・ステイサムに縋って生きていこうと決めています。
単語と品詞
4月から本格的に授業が始まり、本日は初回の『言語』の授業が終わりました。
言語の授業では、基本的には国文法(日本語の文法)を扱いますが、その知識を英語と結びつけたり、数学の文章題を解いたり、言語能力が問われる全ての問題を扱っていきます。
初回の授業では単語の分類、文節と単語について解説しました。
日本語に限らず、英語やその他の言語においても、必ず「名詞」「動詞」「形容詞」といった品詞が登場します。
何となくで乗り切る学生が多いですが、非常に重要な考え方なので、年齢に関わらず必ず習得したい知識です。
例えば、{英語 , 赤 , 数学 , 青}という4つの単語を考えます。
{英語 , 赤 , 数学 , 青}という並び順を見ると、どうしても気持ち悪くなり、{英語 , 数学}と{赤 , 青}の2つのグループに分けたくなります。
何故、英語と数学、赤と青を同じグループと考えてしまうのか。
「英語と数学は科目、赤と青は色を表すから」が妥当な答えでしょうか。
それでは更に単語を複雑にして、{りんご , 赤い , 英語 , 難しい}の4つの単語を考えてみましょう。
恐らく、大抵の人は{英語 , りんご}と{赤い , 難しい}の2つのグループに分けると思います。
これについては「英語とりんごは物の名前、赤いと難しいは状態を表すから」と考えているはずです。
このように、単語を役割で分けたものを「品詞」と呼んでいます。
物の名前を表す単語は「名詞」
状態を表す単語は「形容詞」(厳密には定義は違いますが)
つまり、{英語 , りんご}は名詞の集まり、{赤い , 難しい}は形容詞の集まりとなり、同じ仲間の単語と考えることができます。
もちろん「りんごは赤いし、英語は難しいから」という理由で{りんご , 赤い}と{英語 , 難しい}と分けるのは間違いではありません。
しかし、それを許してしまうと、世界中の人が独自のルールで言語を構築し、言語として成り立たなくなってしまうため、文法においては不正解となります。
自立語と付属語
次に、話を更に進めて文章単位で単語を考えてみます。
「私は学生です」という短文を単語で分類すると「私 / は / 学生 / です」という4つの単語に分かれます。
私:名詞 / は:助詞 / 学生:名詞 / です:助動詞
ここで、先ほどの「単語の役割」目線ではなく「意味が通じるかどうか」目線で単語を考えてみましょう。
「私」と「学生」はそれだけでも意味が通じますが、「は」と「です」はそれだけだと意味が通じません。
このように、意味が通じる単語を「自立語」、意味が通じない単語を「付属語」と呼んでいます。
それでは、改めて{りんご , 赤い , 英語 , 難しい}の4つの単語を考えましょう。
「りんご」「赤い」「英語」「難しい」どれも単独で意味が通じるため、全て自立語となっています。
つまり「意味が通じるかどうか」目線で考えると、全て同じグループに分類されます。
そう考えると、{英語 , りんご}と{赤い , 難しい}の2つのグループに分ける考えは、ある意味では間違いとなります。
全て同じカテゴリーですからね、分けること自体がナンセンスです。
{りんご , メロン , みかん , ジェイソン・ステイサム}で仲間外れはどれか
最後に、タイトルにある{りんご , メロン , みかん , ジェイソン・ステイサム}を考えてみましょう。
「どの単語が仲間外れか」という質問、IQテストや小学校受験の問題によくありますよね。
普通に考えると{りんご , メロン , みかん}と{ジェイソン・ステイサム}になります。
前者は果物、後者はハゲです。
ですが、これに違和感を抱く人もいると思います。
その人は恐らく、{りんご , みかん}と{メロン , ジェイソン・ステイサム}の2グループに分けると思います。
前者がひらがな、後者がカタカナという、文字種別の目線です。
品詞の目線で考えると、全て名詞に分類されるため、分けること自体がナンセンスとなります。
答えが3つ出てきましたが、どれが正解でしょうか。
どの主張も一理あるため、正解・不正解は判別できません。
見方によっては、果物=ハゲが正解となります。
文法の意義
長くなってしまいましたが、最後に文法の意義について。
個人的な意見ですが、名詞や形容詞、自立語や付属語といった勉強はどうでもいいと思っています。
冒頭で「非常に重要な考え方」と書きましたが、文法の真骨頂は「見方によって色々な答えが正解となる」という考え方です。
アリストテレスは著書『政治学』で「人間はポリス的な動物である」と書いています。
「人間は社会を良い方向に導くために善く生きるべきだ」という論旨ではありますが、まあ「社会、つまり他人と関わらなければ生きていけない」という解釈でいいです。
他人と関わる中で、誰しもが「私とあの人はどこが違うんだろう」といったように、自分との差を中心に物事を考えます。
「男女」という発想も「私は男で、あの人は私と違う女だ」が元になっていますし、「偏差値」なんて顕著ですよね。
とにかく、あらゆるタイミングで他人と比較して自己を形成しています。
そこで、意識的だろうが無意識的だろうが、周囲の人間を分類しています。
「Aさん、Bさんは良い人」「Cさんは嫌な人」といった感じに。
私を含め、この分類は極端になりがちで、なおかつ視野が狭くなりがちです。
例えば「Cさんは嫌な人」といったように「良い/悪い」で分類してしまうと、その後のCさんの行動は全てマイナスに見えてしまいます。
逆に「Aさんは良い人」と分類すると、その後のAさんの行動は全てプラスに見えてしまいます。
Aさん、Cさんに「今日は髪型が可愛いね」と言われた場合、Aさんの意見は素直に聞けますが、Cさんの意見は「嫌味か?」と勘繰ってしまいますよね。
このように、日々の分類には非常に危険な偏りが存在します。
文法で「名詞と形容詞」「自立語と付属語」といったような多様な見方があるように、他人の分類にも多様な見方をするべきです。
文法の学習を通して、上記の貴重な思考も一緒に定着させましょう!
まあ、前から見ても後ろから見ても、ハゲはハゲなんですけどね。
私がハゲるまでに、ハゲを打ち消す物の見方が世間に定着しているといいな、という話でした。
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