【大学受験】医療系【学部紹介】
学部紹介その2 〜医学・看護学・薬学(・農学)・歯学・獣医学〜
理系の花形、医療系の紹介です。
医療系に関しては、理系だから医療系を選ぶ、というより、「医療系に進みたいから理系を選ぶ」という、目的意識を持った学生が大半です。
そういった背景から、進路に迷うこともなく、自ずと大学も決まっているパターン多いです。
「医師になりたい」「薬剤師になりたい」といったように、学歴よりも職業が優先されることから、近場の大学を手当たり次第に受験して、受かった中で最高の大学に進学することになります。
ちなみに、医療系の職業に就くためには国家資格が必要になりますが、その国家試験の受験資格に「医学部(薬学部)を卒業している」という要項があるため、その他の道が存在しません。
受験に限らず、目的がはっきりしている方が、早い段階から無駄を削ぎ落とすことができて、結果的に楽になるんですよね。
以上から、「昔から医療系に興味がある」もしくは「無駄を削ぎ落として生きていきたい」人向けの進路です。
医学
まずは「医学」です。
あえて説明する必要もないとは思いますが、無視するわけにもいかないので、改めて紹介しておきます。
「医学」を一言で表すなら「究極の実学(実用的な学問)」です。
定義としては「生物の構造解明、治療を目的とした研究を行う学問」であり、イメージとしては「生物学」を実践方向に極振りした学問です。
当然、生物の生死に関わる立場に就くため、些細なミスさえ許されません。
学生のうちからそういった訓練をさせるために、受験においては常に「高得点」が問われます。
いかなるミスも許さないスタイルです。
純粋な学問探求ではなく、社会への貢献を求められていることから、一定水準以上の倫理観も求められます。
「医は仁術である」
この言葉を胸に刻んで一生を過ごすことになります。
ちなみに、医学は「基礎医学」「臨床医学」「社会医学」の3つに分かれます。
ミステリードラマでよく見る「法医学」は「社会医学」の領域です。
医学部=医者(実用)と決めつけてしまいがちですが、研究という目線で見ても、奥が深い素晴らしい学問です。
法医学について語りたいところですが、長くなるのでまた別の機会にします。
薬学・農学
続いて「薬学」です。
「薬学」は薬剤師になるための通過点と思われがちですが、意外とそうでもなく、その他の選択肢がたくさんあります。
例えば、化粧品の開発にも薬学の知識が必要になりますし、研究職の道も有力な候補です。
実際、今は薬剤師の給料が低く、一般企業の研究職の方が年収が高かったりするので、薬剤師の人気は右肩下がりです。
昔は「産休・育休後に復帰しやすい職業」として、「女性の就きたい職業」の上位にランクインしていましたが、今は「AIに奪われる仕事」の上位に入っていますし、上下差が激しい職業です。
とはいえ、「薬学」という学問の価値は変わらない(それどころか価値は上がり続けている)ので、非常に安定した学問といえます。
薬学はイメージ通りなのでさておき、ここで「農学」を紹介します。
「農学」と聞くと、土いじりをするような、いわゆる「芋臭い」学問と認識されていますが、その実態はバイオテクノロジーの最先端です。
農作物の品種改良も農学の領域ですし、農薬や肥料の開発も農学の領域です。
基本的には生物寄りの学問ではありますが、研究内容によっては化学寄りとなり、薬学以上に化学の研究が盛んな場合もあります。
例えば、第二次世界大戦下のドイツにて起こった悲劇”ホロコースト”では、ユダヤ人を虐殺するために”Zyklon B”という毒ガスが使われましたが、この毒ガスの構想を作ったFritz Haberという学者は物理学者です。
(Fritz Haberは大学時代、有機化学を専攻していましたが、すぐに物理化学へと転向しています。詳しくは第二次世界大戦の歴史を調べてみてください)
この”Zyklon B”は農薬としても使用されていた経緯があります。
話がそれましたが、こういった薬化学の領域は、他の領域と重複している部分があるということです。
薬学部に進学する場合、大抵は「薬剤師になりたいから」という理由だとは思いますが、昨今の情勢を考えると、薬剤師以外の選択肢も持っておくと、より多くの道が選べるようになります。
純粋に「化学」の研究に興味があり、なおかつ将来的に研究職を志望しているのであれば、近場の農学部も調べてみてください。
もしかすると、薬学よりも理想的な環境が見つかるかもしれません。
ちなみに、薬剤師の国家試験は「6年制の薬学部卒」という要項があるため、農学部に進学した場合は薬剤師になれません。
看護学
続いて「看護学」です。
医療現場は医者を中心に、看護師や薬剤師が一丸となった”チーム医療”が理想とされています。
看護師はいわば縁の下の力持ちですね。
子ども~高齢者まで、幅広い患者を相手にすることから、看護学も「基礎看護学」「小児看護学」「老年看護学」というように領域が分かれています。
とはいえ、どれか1つだけを専攻しても現場では使い物にならないので、基本的には全てに触れることになります。
医者を含め、医療系の資格は専門ごとに細かく分かれており、「〇〇の専門医」といったようなポジションになります。
医師免許や看護師免許はRPGでいうところの「戦士」であり、専門医や専門看護師の資格は「聖騎士」や「魔法戦士」といった感じです。
逆に分かりづらいですね。
要するに、一般的に「医者=医師免許」「看護師=看護師免許」と思われがちですが、それらの国家資格はただの入門であり、まだまだ先があるということです。
看護師は少し特殊で、大学に行かずとも、専門学校で資格が取得できます。
しかし、その後のキャリアを考えると結局は専門資格が必要となるので、大学進学が推奨されます。
また、大学の看護学部では、助産師などの副次的な資格も取得できます。
冒頭に書いた通り、医療系はキャリアありきの進路選択なので、自分が進学しようとしている学校で何ができるのか、何の資格が取得できるのか、最低限それくらいは調べておきましょう。
医者と同じく学歴は二の次なので、資格重視の選択で問題ないと思います。
歯学・獣医学
最後に「歯学・獣医学」の紹介です。
領域が違うため、本来であれば並列するものではありませんが、医療現場を考えると上記の「医学・薬学・看護学」とは切り離されているものなので、本記事では並列しての紹介となります。
基本的に「医学・薬学・看護学」の現場は病院になります。
(薬剤師は調剤薬局やドラッグストア勤務も多いですし、一概にそうとは言えませんが……)
しかし、歯学・獣医学は、俗に「歯医者さん」「獣医さん」と別で呼ばれることから、毛色が少しだけ異なります。
歯学に関しては、特に人間の口内環境を専門としており、獣医学に関しては、人間以外の生物を専門としています。
親が歯医者の家庭は歯学部に、動物が好きなら獣医学部に、というパターンが多いのではないでしょうか。
医療系全般にいえますが、もう好みでいいと思います。
ちなみに、日本では医療系の中では平均年収のトップは医者ですが、アメリカでは平均年収のトップが獣医だったりします。
日本は少子高齢化で高齢者の通院が多いですし、アメリカはほとんどの家庭が何かしらのペットを飼っているので、文化の違いですね。
医療系まとめ
「社会貢献がんばって!」の一言に尽きます。
1つだけアドバイスするとしたら、大学受験の際に、改めて「視野が狭くなっていないか」を確認しましょう。
医療系志望の場合、ほとんどの人は幼少期からずっと目標にしているかと思います。
そうなると、他の選択肢を視野に入れることがないので、死ぬ間際に「あれもやりたかった、これもやりたかった」と後悔するかもしれません。
例えば、漫画家の手塚治虫は大阪大学の医学部卒で、奈良県立医科大学にて医学の博士号を取得しています。
医学博士まで勉強した手塚治虫も、漫画家として生涯を終えています。
医者と漫画家、方向性がまったく異なりますが、おそらく手塚治虫の人生に悔いはないでしょう。
学問と人生は切り離して考えるべきなので、改めて「自分は何をして死んでいきたいのか」を考えましょう。
アイキャッチ画像は、手塚治虫『ブラック・ジャック』のあるワンシーンです。
妻と子どもを亡くした男が、自分の家に居座っている猫を家族だと勘違いし、その猫の治療をブラック・ジャックに任せる話です。
『ブラック・ジャック』は共通試験の必修科目にもなっているので、必ず全巻揃えましょう。


