デジモンの名前が覚えられない大人たちへ
『デジモンストーリー タイムストレンジャー』のトロコンまで残り僅かとなりました。
ポケモンと同様、デジモンはやったりやらなかったりで、久しぶりにプレイすると、新しいデジモンが追加されていて浦島状態です。
物語も終盤になり、超究極体まで進化させられるようになったので、現在はユニモン・ベルスターモン・ウェヌスモン・オファニモン・ネルヴァモン・リリスモンで進めています。
もう30代も中盤のおじさんとなり、アグモンやホーリーエンジェモンといった、かつてアニメ版に登場したデジモンくらいしか知識がなく、デジモンの名前を覚えるだけで精一杯です。
その点、子どもはすごいですよね。
デジモンだけでなく、ポケモンや『鬼滅の刃』をはじめ、あらゆるキャラクターの名前を吸収していきますから。
例えばベルスターモンですが、これはかつてアメリカを震撼させた女山賊 “Maybelle Shirley(メイベル・シャーリー)” 通称「ベル・スター」がモデルとなっており、それにモンスターの~モンを付け加えたネーミングになっています。
オファニモンにしても、上級第三位の天使である “Ofanim(オファニム)”が由来です。

そういった知識があるため、ギリギリ覚えられますが、当然、キッズにはそんな知識はありません。
何の関連性もない名前を吸収できるのは、やはりキッズ特有の柔軟性が為せる業ですね。
strong rain , expensive salary
そんな驚異的な記憶力を持つキッズですが、何故か英単語も漢字も覚えられません。
単純に興味がなくて覚えられないだけなので、解決方法は「勉強に興味を持つ」ことなのですが、「興味を持て」と言われて興味が持てたら苦労しません。
結果として「どうやって暗記したらいいですか?」という質問に変わってきます。
これは年齢に関わらず、暗記方法は生涯を通した課題となるのではないでしょうか。
記憶力に関しては、明らかに個々人の才能に依存するところがあるため、以下は凡人向けの暗記方法となります。
まず、分かりやすく言語をテーマにすると、言葉には「コロケーション」という概念があります。
例えば日本語では「傘を”さす”」 英語では「”heavy” rain」 ドイツ語では「”böse” Absicht」(悪意)
意味的に合っていたとしても「傘を”掲げる”」「”strong” rain」「”schlecht” Absicht」(悪い意図)とは言いません。
つまり、コロケーションとは「慣用的に、ともに用いられる関係性」を指します。
言語の暗記が苦手な人の特徴として、1:1対応で覚えようとする、という点が挙げられます。
「apple=りんご」「run=走る」
これくらいの単純な単語なら困ることはありませんが、「strong=強い」「heavy=重い」といったように、形容詞に関しては問題が発生します。
strongは肉体的な強さ以外にも、濃度を表現する用法もありますし、逆に雨量に対しては用いることのない形容詞だからです。
結局のところ、名詞にしろ形容詞にしろ、1:1対応では役に立たないということです。
そのため、暗記方法としては、1:1対応ではなく「strong coffee」や「heavy traffic」のように、何かと組み合わせてコロケーションで覚える必要があります。
ヨーグルトは国によって性別が違う
これを言うと「面倒だ、みんなそんなことやってない」と返されるのですが、ドイツ語学習者からすると当たり前の発想すぎて、「えっ、それやらずに覚えようとしてるの?無謀じゃね?」となってしまいます。
この発想がいかに当たり前かを知ってもらうために、軽くドイツ語の紹介をしておきます。
ドイツ語は英語と同様「ゲルマン語派」と言われる語派に含まれます。
英語と祖先が同じ、と考えてください。
(少し違いますが、ラテン語から派生した、という認識でいいです)
しかし、英語と大きく異なる点があり、それが「名詞の性別」です。
英語と異なり、ドイツ語はゲルマン祖語の名残があり、全ての名詞に「男性・女性・中性」3つの性別があります。
これだけ聞くと「ふぅん」となりますが、問題なのは「性別によって使われる冠詞が異なる」ところです。
男性名詞には”der”を、女性名詞には”die”を、中性名詞には”das”をつけます。
英語では「an apple」「a boy」といったように、母音の有無で冠詞を使い分けますが、ドイツ語は性別で冠詞を設定するため、そもそも性別を知らなければ文法的に正しい文章が書けません。
例えば、父親を表すドイツ語”Vater”は男性名詞なので “der Vater”となります。
例えば、母親を表すドイツ語”Mutter”は女性名詞なので “die Mutter”となります。
これだけ聞くと「誰でも分かるから、性別なんて覚えなくていいじゃん!」となるのですが、問題はここからで、
例えば、少女を表すドイツ語”Mädchen”は男性名詞なので “der Mädchen”となります。
少女なのに男性名詞になるんですよ、おかしくないですか?
もちろん、ドイツ語も無法地帯というわけではなく、ある特定のルールはありますが、そのルールが適応されない名詞も無数に存在します。
「そんなの、どうすればいいんだ……」となりますよね。
答えは簡単で「冠詞と名詞をセットで覚える」これしかありません。
ドイツ語学習者は100%この暗記をしています。
よく使われる冠詞と名詞をセットで覚える、いわばコロケーションの暗記です。
冠詞はder/die/dasでどれも3文字なので、単語の文字数が3文字増える、と考えればいいだけです。
天衣無縫
ドイツ語の例を見ると、コロケーションの暗記は当たり前、と理解していただけると思います。
つまり、コロケーションの暗記を「面倒だな」と言う人は、ドイツ語やその他ヨーロッパの言語を知らない、ただの低知能だということです。
更に話を言語から広げると、数学の公式についても同じことが言えます。
例えば三平方の定理は「a^2+b^2=c^2」ですが、まさかこれだけを丸暗記するわけないですよね。
最低でも「a,bは底辺と高さ、cは斜辺」これくらいの知識は関連付けているはずです。
更に「直角三角形でしか使えない」「比で表すとcos/sin/tanになる」など、関連する知識は多数あります。
1つの公式に対して、どれだけの知識を関連付けられるか。
それが数学の公式暗記です。
確率1つとっても、組み合わせは”C”の計算で楽に解けますが、これは確率だけでなく、高次数の展開に応用すれば”二項定理”に変わります。
あくまで根源にあるのは「組み合わせ」なので、確率でしか使えないわけがありません。
結局、あらゆる知識に対して「1つの知識に、いくつの知識を関連付けられるか」ということが重要になってきます。
特に最近の子どもに言えますが、こういった「知識の関連付け」が圧倒的にできなくなっている気がします。
様々な要素が複雑に絡み合っての結果だとは思いますが、大きな原因は「ネットの普及」つまり「解答への一本道が溢れている」ところにあると思います。
通常、分からない問題は様々な角度から解き、それでも分からなければ解説を読むなりしますが、今はYouTubeで解答が簡単に閲覧できてしまうので、答えはその1通り、だと思い込んでしまうのではないでしょうか。
「〇〇くんはいつも数学で100点、天才だ」と言われたりしますが、まず、100点は当たり前です。
そこまでは凡人の域です。
数学が得意ということが何なのか、それは「1つの問題に何通りの解法を用意しているか」です。
私は中学時代はSAPIX、高校時代はSEGという理系特化の塾に通っていましたが、どちらの塾でも「仮に答えが出せなくても、解答欄に解法を書けるだけ書け」と何千回も言われてきました。
部分点が加点される、というメリットもあるのですが、それ以上に、「そのメモを見ている途中で新たな解法を思いつく」面が大きかったからだと思います。
この教えは学問において非常に有用で、大学以降、研究で詰まることがあっても、まずは自分が考えられるだけの手法を試し、そこから改めてスタート、という研究者の心得と一致しています。
学問だけでなく、日常生活でも有用ですよね。
何か大きな問題に直面した場合、1通りを試して「もうダメだ……」とはならないはずです。
あらゆる手段を講じて、それが全てダメになって、そこからが本番です。
長くなりましたが、「暗記は知識の組み合わせで効果を発揮する」という内容でした。
10月5日Vもぎの国語で「テンイ無縫」の書きが出題されたのですが、生徒の反応を見る限り、恐らく正答率が低いだろうなと思って書きました。
天位や天意と書いた生徒が多いんじゃないでしょうか。
問われている「テンイ」だけを見て、知っている漢字を1つ当てはめて終わりにする。
四字熟語は2字+2字のコロケーションなので、下の「無縫」を見れば、衣類に関係している言葉だと分かり、知らなくても天衣が出てきそうなものではありますが、今の教育では、そういう発想をする子どもがほとんどいないのでしょう。
この問題に関しては、学生の知識不足というより、現代教育を促進している側に問題がある気がしますね~。
当然、弊塾もその1つです!
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