小論文と志望理由書の考え方

先日、木下古栗『人間の諸相』を読みました。

木下古栗の作品は「純文学」に分類されますが、文学の才能全てを下ネタに全振りした、(良い意味で)非常にくだらない小説です。

小説の分類として「純文学」「大衆小説(ライトノベル)」がありますが、その線引きは曖昧で、古くは明治時代から論争が続いています。

学術的な定義はさておき、一般的には「教科書に載っているような小説」が純文学で、「アニメ化や映画化されている小説」が大衆小説、という認識ではないでしょうか。

弊塾の言語の授業では、純文学の冒頭部分を抜粋して、用言の活用練習を兼ねて文学史を解説しています。

文学史は公立高校では出題されませんが、私立高校では頻出であり、それを抜きにしても、質の高い作品に触れてほしいなと考えています。

例えば太宰治『ダス・ゲマイネ』の冒頭。

恋をしたのだ。そんなことは、全くはじめてであった。

例えば梶井基次郎『桜の樹の下には』の冒頭。

桜の樹の下には屍体が埋まっている!これは信じていいことなんだよ。

『ダス・ゲマイネ』に関しては、「恋」という全人類共通のありふれたワードから始まりますが、それに対し「そんなことは、全くはじめてであった」というのは不思議な感じがします。

『桜の樹の下には』に関しては、「桜」という前向きな印象(入学、門出etc…)を持つ対象に対し、「屍体」という不穏な単語を結び付けることにより、独特な世界観を作り出しています。

純文学かどうかは重要ではありませんが、やはり古典文学には独特な趣がありますよね。

敬遠されがちですが、純文学にも面白い作品はたくさんあるので、通学・通勤時間に是非とも読んでみてください。

お勧めは泉鏡花『歌行燈』です。

誰に小論文を見てもらうべきか

11月も下旬に差し掛かり、大学受験の公募推薦が本格的に始まりました。

一般的に、指定校推薦や公募推薦は「志望理由書」「小論文」「面接」で評価されることが多く、この時期になると「志望理由書の添削をお願いします」「小論文の練習がしたいです」という生徒が増えてきます。

「小論文は所詮日本語だし、大して練習しなくても書けるでしょ」と勘違いしている高校生がたまにいます。

「小論文対策の参考書も読んだし、文章構成のテンプレも知ってるから、これで僕も小論文マスター」と自惚れる高校生も多いです。

三島由紀夫とまでは言わないにしろ、一般人が少し練習したくらいでは、到底、読むに堪える文章は書けません。

小論文対策を参考書や、学校・塾の先生にしてもらうのは危険だと思っています。

だってその人たち、作家でもなければ、文章で生計を立てている人ではないでしょう。

よく「公募推薦対策で、たくさんの小論文をみてきました!」なんて言う人がいますが、見てきただけ?と揚げ足を取りたくなります。

「歴史漫画が大好きです!」という数学教師に、日本史の質問をするのと同じレベルですね。

とは言え、文章は他人に読んでもらって磨かれる側面もあるため、自分で考えて書いて、他人からアドバイスをもらい、何度も書き直して文章力を培っていきましょう。

前置きが長くなってしまいましたが、小論文の書き方の解説です。

「作家でもなければ、文章で生計を立てている人でもないのに、小論文の書き方を解説するの?」と批判されるかもしれませんが、ちゃんと条件に該当しているので大丈夫です。

小論文と感想文の違い

まず小論文を書くうえで、いくつか理解すべき項目があります。

1つ目は「小論文と感想文の違い」ですね。

「感想文」は自分の感じたことを書いた文章

「小論文」は自分の意見を論理的に書いた文章

まあ、言葉の定義の問題です。

辞書で調べれば誰でも分かります。

問題は「論理的」という部分で、みなさんが最初に書く文章は、ほとんどが感想文に該当します。

例えば「少子高齢化について、あなたの意見を述べなさい」という質問に対し、こう書くとしましょう。

子どもの数が減ると、高齢者を支えるための税収が少なくなり、日本経済が破綻する。政府は少子高齢化について、もっと真剣に取り組むべきだ

一見すると「税収が少なくなり」「日本経済が破綻する」という根拠が書いてあり、「少子高齢化に真剣に取り組むべき」という主張も書いてあるため、短文ではありますが、論理的な小論文として成立していると思えます。

しかし、小論文を読むのはバカではなく、それについて興味のある知識人だったり、その学問を専攻している教授です。

そういった立場から見ると「何で税収が少なくなるの?」「どうして日本経済が破綻するの?」と疑問に感じますし、そもそも「真剣に取り組むって、具体的に何するの?」と聞きたくなりますよね。

小論文は自分の主張や根拠を文章内で完結させる必要があるため、「何で?」「どうして?」と突っ込まれる時点で、お気持ち表明の感想文にしかなり得ません。

君への期待値はゼロ

小論文を書くうえで、次に理解すべき項目は「あなたの話には誰も興味がない」ということです。

「試験科目にあるんだから、興味を持って読んでくれるはずだ」と考えるのは甘すぎます。

そもそも、18年しか生きていない高校生に対して、水準以上の知能を期待する大人はいません。

数学や英語の受験問題も同じですが、大学側は「これは解けるかな?」と期待しているわけではなく、「これくらい解けないと、うちの大学には相応しくない」という発想で出題しています。

未知の解法を期待したり、完璧な回答を要求していないのです。

例えば「本学への志望動機を述べなさい(医学部・医学科)」という質問に対し、こう書くとしましょう。

私は、共働きの両親に代わり、母方の祖父に育てられてきた。しかし、その祖父が癌で亡くなり、それから医師を志すようになった。貴学の癌研究は最先端であり、国家試験の合格率も90%を超えていることから、医師を目指すには貴学が最適であると考える。以上から、私は貴学の医学部医学科への入学を強く希望する。

これも一見すると「祖父が癌で亡くなり」「貴学の癌研究は最先端であり」と志望理由が書かれており、同情も誘う、それっぽい志望理由になっています。

でも、でもぉ?

君が医者になっても、おじいちゃんは生き返らないしぃ?

別の受験生は、お父さんもお母さんも白血病で死んでるよぉ?

不幸自慢大会が始まっちゃったよぉ!

結局、見ず知らずの人間がどういう人生を送ってきて、何を主張しようが、周りの大人からすればどうでもいいことなのです。

まずは小論文を書く前に、「論理的だと思っていても感想文になりやすい」「自分の話には誰も興味がない」という2点を理解しておきましょう。

長くなってしまうので、今回はこれで終わりにします。

小論文の書き方【実践編】へ続く

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